給料が安くて不満な看護師さんに伝えたい、納得の給料を得る方法


img_salary00

「こんなに働いてるのにこれしかないの!?」給与明細を見て悲しくなる看護師さんは多いですよね。

  • 割に合わない!!
  • 納得がいかない!!
  • あそこの病院はもっといいんじゃない?
  • こんな病院やめて派遣ナースでもやろうか…。

よくある看護師の給料に対する不満はこんな感じだと思います。

正直なところ、某転職エージェントを通して派遣ナースになった方が、給料がいいのは確かです。私がNPOから地域貢献という形で離島の病院に行き働いていた時、看護師10年目で給料は20万円ちょっとでしたが、隣の病棟の若い派遣ナースは40万円でした。高い給料を効率良く得るためにに派遣ナースという働き方は全然悪くないですよ。

ただ、今回は「お給料」について少し考えてみませんか?給料に対して文句ばかり言っていても何も変わらないので、潔く今の病院を辞めて派遣ナースになるのでなければ、この記事を読んで今の給料に納得する考え方を身につけましょう。

給料についての看護師さんの悩みは本当によく聞きますし、実際私も不満をもったこともあるので、解決策をさぐってみました。

書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希

img_natsuki_icon

>プロフィール

目次

看護師の給料は本当に安いの?

なぜ看護師は給料に不満なの?

看護師には納得のいかない給料の定義

どうしたら今の給料に納得できる?

看護師の給料は本当に安いの?

多くの看護師が給料が少ないと感じているのは確かです。看護協会の発表によると、離職を考えている人の48.9% が、給与に不満があるからという理由だそうです。しかし実際世の中の平均と比べたらどうなんでしょうか?国税庁のデータから調べてみました。結果…

看護師と会社員の年収比較

看護師 473万円
会社員 415万円

医師やパイロットに比べればもちろん少ないですが、会社員の平均年収よりは上回っています。月々に換算すると、毎月約5万円ほど多くもらっていると考えることができます。女性会社員と比較してみるともっと驚きますよ。

看護師と女性会社員の年収比較

看護師 473万円
女性会社員 272万円

女性会社員の平均年収は272万円とのこと。電車に乗っている周りの女の子たちがおしゃれしているとしても、みんな工夫してやりくりしているのです。

引用元

国税庁 平成26年分 民間給与実態統計調査より
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/minkan/

年収ラボ
http://nensyu-labo.com/

なぜ看護師は給料に不満なの?

会社員の平均年収に比べて、とくに女性会社員に比べて、看護師の給料はかなり恵まれていることがわかります。しかしどうして納得がいかないのでしょうか?

1.上昇率が低いから!

看護協会が言うには、看護師の給料の特徴は初任給は高めなのに昇給しにくい点とのこと。大きな昇給のチャンスは主任や師長に就任する時で、そこまでの間には年々決められた少ない率でしか上がっていきません。

img_salary01

引用 看護職の給与事情データ
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/chingin/01/06.html

他の医療系職種に比べて昇給カーブが緩やかですね。モチベーションを保って長く働くことは大変です。そして後輩が増えれば増えるほど教育も大変です。これでは頑張っても努力が認めてもらえていない気がしてしまいますよね。

2.重労働だから!

看護師の仕事はオフィスワークと違い身体を使うので、肉体的に疲れます。もしも作業が単純作業だったとしても、すごく頑張った気になるのです。時給だったら、頭を使って記録をする1時間よりも、シャワー浴をガンガンまわす1時間の方が3倍くらい上げて欲しいと思いますよね。

また、夜勤があれば生活リズムも崩れ、疲れているのに寝たい時にはなぜか寝れず、さらに体調が悪化することも。睡眠薬の助けが必要な看護師さんもいますよね。私も臨床でやっていたとき、どうにもこうにもだるくて仕方がない日がよくありました。朝は声も出ないし倒れないようにするのがやっと…みたいな。

身体が疲労すると、何者かに何か自分の多くを搾取されたかのような気持ちになります。それはお金で埋め合わせてもらわなければ!とつい思い馳せるんですよね。

3.業務時間外の仕事が多いから!

残業手当の規定があるとはいえ、自分の采配が上手くいかなかったことによる時間外業務はなかなか申請できない現実がありますよね。これも看護協会のデータですが、

実際の残業時間 14.1時間
支払われた平均残業代 8.1時間分

ということ。

特にこの春の時期、新人を教育する先輩ナースは、新人に付き合ってかなり遅くまで仕事をしますよね。自分の仕事は終わっているのに。教育にかかる時間に残業代は申請できない施設が多いのではないでしょうか。

各種委員会活動や勉強会の準備なども時間外の仕事です。時間内にいくら予定したとしても、まずは患者さんのケアが優先なので、その通りに実施できることはなかなかないでしょう。

また、看護師は医療の進歩とともに一生勉強し続けなければならないもの。帰宅してからでも受験生並みに勉強することもよくあります。病院での看護につながるものですが、個人の勉強はもちろん時間外業務とはみなされません。わかってはいるけれどモチベーションが保てなくなった時には、こんなに自分の時間を削っているのに…と途方に暮れてしまうのです。

看護師には納得のいかない給料の定義

改めて給料とは何か調べてみたことはありますか?いくつかの定義が見つかりますが、そのどれもが看護業界にはマッチしません。

「給料とは労働の対価である」

雇用する側がされる側との間で結ぶ契約は、働いた分を給料として支払いますというものですが、今まで述べてきたように、看護師たちの労働の対価の額は見合っていないようです。ではこの対価の額を現場の看護師が判断する適正な額に改正できるのでしょうか?

看護師の給料は「国家公務員給与」に基づいて決められています。その国家公務員給与を決めているのは、内閣官房の人事局。(http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_c.html

つまり、根本から変えようとするなら政治家にならなきゃいけないんですね。東大の看護学科を卒業している膳場貴子さんとかなってくれないですかね〜?ともかく、基本給の改正は簡単ではなさそうです。

「給料は生み出した価値の対価である」

一方で、ベンチャー社長などがよく言っている定義は、給料は労働の対価ではなく生み出した価値の対価であるという説。どんな価値を生み出したかが重要で、たとえ長時間勤務しても、その仕事内容がお客さんにとって有益な仕事でなければ報酬に値しないという考え方です。そもそも、給料は会社が払うのではなく、お客さんが払ったお金の一部が給料になるという考え方から来ています。

すると生み出した価値を評価し、適正に給料に反映させる必要がありますが、看護師の仕事はというと看護の価値は患者さんに評価されにくいですし、それを給料に反映させるシステムがありません。どんなに勉強して専門性のある看護を展開しても頑張り損と感じることもあります。だからせめて師長さんには、スタッフの価値ある看護を認めて伝えてほしいものですよね。

看護協会も、専門看護師や認定看護師が適正な処遇を受けられるシステム作りをしていきたいとは言っています。

どうしたら今の給料に納得できる?

個人の力で看護師全体の給料を改革することは簡単ではないみたいです。では、どうしたら今の給料でモチベーションを維持して楽しく仕事ができるでしょうか?愚痴を言ってやりすごす以外の方法を考えてみます。

給料を払う側の気持ちを知ってみる

病院という大きな組織だと、給料を払う人の気持ちは見えにくいですよね。ここで、もしも自分がカフェをオープンしたらと想像してみてください。細部に渡るまで自分の想いを表現したカフェです。そんなカフェを手伝ってもらうアルバイトスタッフを雇います。

ひとたび給料を払う側になるとどうでしょう?自分の店を手伝ってくれる大切なスタッフには、楽しく働いて続けてほしいと思いますよね。あなたは感謝の気持ちとともに払える中のぎりぎりの額を支払いますが、それで少ないと文句を言われ辞められたら「わかってない!」と不満に思うでしょう。

大きな病院では経営者のことは見えにくいけれど、病院を大切に思っていて、なんとか維持・発展させていきたいと考えている人がいるはずです。看護師が給料に不満を持っていることも知っている中で、なんとかやりくりしているのでしょう。

一度人を雇う経験をしてみると違う視点が持てると思います。例えば引越しの手伝いなどをお金を払って友達にやってもらうのとかどうですか?

収支を把握しない

看護師は仕事柄、金銭管理もきちんとしている方が多いでしょうが、家計簿や通帳の数字を見て無駄に不安になっている可能性があります。大胆な方法かもしれませんが、収支を敢えて把握せず思うままに生活してみると給料への不満は感じにくいです。大丈夫、しっかりしているあなたは収支を把握していないからといって使いすぎたりすることはないはずです。

現金で支払わないのもひとつの方法です。決まった額の現金を財布に入れておいて、残額がわかりやすいようにしている人もいると思いますが、現金というモノが財布からなくなると、なくなった実感を過剰に感じます。私はいつも基本的にカード支払いか電子マネーでの支払いです。その方が還元されるポイントも貯まりますしね。

しっかりしている人ほど貯金額について過剰に心配して、給料がもっともらえればという思考に至っている可能性があります。心当たりのある人はどんぶり勘定に切り替え、毎日の楽しみにフォーカスしてみてください。

自己満足を真剣に考える

給料が少ないと不満に感じているなら、それが本質の悩みなのかどうか一度疑ってみてください。仕事そのもの、つまり今の自分に満足していないのではないでしょうか?

私は途上国で無償のボランティアを約1年しましたが、給料をもらって病院で働いていたときよりもかなり幸福度は高かったです。基本的な医療を受けられない人に医療を提供したいという思いは私の本質の欲求でした。休みもほとんどなく少ない仲間の中で4日に1度夜勤をやったりもしましたが、苦労の代わりにお金が欲しいと思ったことはありません。

マズローの欲求の段階を覚えていますか?看護師として社会で仕事をして収入を得ている皆さんは、すでに承認の欲求や自己実現の欲求を求めていて、内的な心を満たしたい、自分の能力で創造的な活動をしたいと思っているのではないでしょうか。

皆さんが本当に欲しているのは、お金ではなく自己満足である可能性があります。お金でごまかしてもきっと無理なんです。自分が何を達成すれば満足できるのか、それを知ることもまず難しいのですが、そこを真剣に考えるのが一番の近道です。

 

お給料が安くて不満な看護師さんの悩みを解決すべく、納得の給料を得る方法改め、給料に納得する方法を考えてみましたがどうでしたか?これで一つストレスが減ればいいのですが…。問題は行動して改革するか、考え方を変えてみるかですよね。今回は改革が難しそうだったので考え方を変える方法を挙げてみました。

でもこの限りではありません。給料を得るという働き方だけではなくて、お金を生み出すという働き方だってあります。看護師もこれからどんどん独立してお金を生み出し、お金を社会に循環させるようになってもいいと感じています。