ボランティアをしてお金がなくなって気づいた、ボランティアのその後


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「ボランティアやってる人ってお金どうしてるんですか?」医療ボランティアでしばらく海外に行っていたと話すと、よく聞かれる質問がこれです。私はジャパンハートの長期看護研修という1年のプログラムに参加し、その後1年さらにボランティア活動を続けたという経歴があります。

長期に渡りボランティアをしている人はどうやって生活をしているのかきっと不思議ですよね。ボランティア活動をしてみたいと思っていても、実際どのくらい蓄えがあったらできるのかわからず気軽には踏み出せないものだと思います。そんな方のために、私の事情をご紹介しましょう。一つの参考にしてみてください。

書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希

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>プロフィール

ジャパンハートの国際看護長期研修、いくらかかるの?

私は2013年にジャパンハートというNPO団体の国際看護長期研修というプログラムに参加しました。このプログラムでは(今は少し変わっている部分もあるので直接お問い合わせくださいね)まず半年国内の僻地や離島に行って人手不足の病院の一戦力として働き、後半の半年はミャンマーで外科治療のボランティアを行い、国際的に活躍できる看護師を育成するという研修です。

ジャパンハートのボランティアは基本的に無償で、渡航費や生活費も自費です。研修費(渡航費、生活費含む)130万円程度を払い、その他使ったのはおやつや外食代、観光代、おしゃれ代です。しかし国内の研修地では病院との契約になるので、月20万ですがお給料をいただきました。だから贅沢代以外で考えればトントンというところです。

他の団体はいくらお金がかかるの?

国境なき医師団

ボランティア団体により自己負担の金額は異なります。例えば国境なき医師団では53,106円が毎月給料として支払われるようです。その他日当という名目で、食費や生活雑貨に当てることのできる支給もあるようです。

参考「活動中の待遇」http://www.msf.or.jp/work/termsofemployment.htmlより

JICA

JICAの場合では、生活費はJICAが国ごとに決定した金額(1ヶ月300~760米ドル程度)が支給されるようです。渡航費もJICA負担で、さらには「国内手当」という、派遣中に日本国内で必要な費用(おそらく保険、税金に使ってねということだと思いますが)月に4〜5万が支給されるようです。

参考「待遇と諸制度」http://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/support_system/treatment/より

お金はすぐになくなった!

ジャパンハートのボランティアは、この大手2団体と比べて待遇面では確かに厳しいです。さらに、市民税・県民税、国民健康保険、年金などを払いますので、完全にマイナスにはなります。私は1年の研修終了後も続けましたので、約2年間収入ほぼなしの生活でした。

でもやっぱりやりたいことはジャパンハートの活動が一番マッチしたし、代表の吉岡先生の想いに強く賛同したので、他の選択肢はありませんでした。

金銭的に厳しいことはわかってはいましたが、観光もしたかったし、外食もしたかったし、新しいデバイスも欲しかったし、日本にいるときは服も欲しかった。それまでのバブリーな勤務看護師時代の金銭感覚を変えられずにいたら、病院の退職金はあっという間になくなってしまいました!

ボランティア活動にお金を使うことをどう思うか

お金がなくなったと聞いて、やっぱり不安になりましたか?私が大金をポンと払い貧困層の方に医療を提供することを、「すごいですね、志が高くないとできないですよね」とかよく言われます。でも、私はすごいわけでもなんでもないんです。

ハイブランドのバッグや高級輸入車を買う人の気持ちってどんなだと思いますか?それは、一流のブランドを持てる自分であることを他人からも自分からも認められたい心理なんだと思います。デザイン性や機能性の高さを本当に理解して持っている人はそんなに多くないでしょう。ブランドが持つ力の強さで、自分の能力を表現しようとしているのだと思います。

私の場合その心理に近いものがります。私は苦労して看護の実践を積んできた、それなりに社会貢献できる人材になって給料を得ることができた。そしてそのお金を貧困で医療を受けられない人に使うことができるまでになった。ボランティア活動にお金を使えることは今自分が幸せであることの証明で、自分の為にお金を使っているのです。でも同時に貧困層の方の為にもなっている、ただそれだけなんです。

今までに仕事を辞めたり大金を使ったことがない人は、それが未知なことなので恐れているだけで、決してボランティア活動に対する志の高さが私より低いかというとそうではないと思います。

私もボランティア活動に参加することを決めるまでは、収入がなくなることを不安に思いました。でも、収入がなくなっても、さらには貯金がなくなっても、確かに以前よりも幸せです。毎月コンスタントに給料を得る範囲の中でできることは限られています。私が得た経験はすごく価値の高いものだったと感じています。

お金がなくなって気づいたこと

しかし、ボランティア活動をしてお金がなくなって気づいたことがあります。それは、本当に貧困層の方の為に何かを成し遂げるなら、きちんとお金が生み出されて活動を継続できるシステムを考えないと意味がないということです。

私はとりあえず自分が持つ財をジャパンハートに託し、代表の吉岡先生が作ったシステムの中でそれなりのパフォーマンスをしてきたにすぎません。それはそれでOK。でもお金がなくなったらそれで終了になってしまったのです。

普段は勤めて収入を得ながら、休日を利用して何年も継続してボランティア活動をする人もたくさんいます。それもいいけど、私の場合は自分の目で見て、自分の感じた提供したいことを形にできるようになりたいと思ったのです。

吉岡先生はよくこう話しました。「自分の100万円を握りしめてミャンマーに行って、これがなくなったら帰らなければいけないと必死だった。あなたたちには到底この苦労はわからないと思う」先生のところには助けを求める人たちがたくさん来て、自分のお金がなくなってもどうしたら助けられるのかを必死で考えたんだと思います。それで仲間を集めてお金が回る仕組みを作ったのでしょう。

ボランティアのその後、経営に興味を持ちました

今まで病院勤務の看護師だった私は、ビジネスは金儲けの卑しいものという印象があったのですが、全くそうではないことがわかりました。貧困層の方の為に本当に何かを成し遂げるなら、経営ができなければいけないのではという考えにたどり着きました。

でもそれにしてはあまりにもバカすぎることは自覚しています。思考力は圧倒的に低いし、社会の成り立ちを知らなすぎます。だから10年くらいかけてゆっくり勉強していきたいと思っているところです。

私はこのようなサロンの運営を始めたのですが、こちらは有料でやらせていただいています。ボランティアをしていた身としては費用をいただくことに抵抗がありましたが、結局続けていけなければ意味がないので、運営できる最低限の値段を設定しています。その代わり料金分役立つカウンセリングが提供できるよう努力しています。

もし私が何かしらカウンセリング技術を向上させて、カウンセリングの質が上がってさらにお役にたてそうな場合は、値上げや他のメニュー追加も検討していきます。

こんな風に自分のプロジェクトを運営して、今は実戦で勉強しているところです。。。