医療ミスをしてしまったときの気持ちの立て直し方
人はミスをしてしまうもの。そうは言っても自分の犯してしまったミスで誰かに影響が出てしまったら…多くの人が経験していると思いますが、私たち看護師は傷みをがっつり背負いますよね。きっと一度はさーーーって血の気が引いて足元がぐらつくというのを実際に体感したことがあるでしょう。
私もずいぶん苦しんだ経験があります。どうにかこの気持を救ってくれる言葉はないのか…とネット上も回遊しましたがいまひとつ刺さる言葉が見つからず悶々としたのを思い出します。そこで、もしかしたら私の経験から得たことが心に刺さる人がいるかもしれないと思い、今日は医療ミスをしてしまったときの気持ちの立て直し方というテーマで書いていきます。数あるサイトの記事の一つに加わわって、少しでも誰かの救いになれば幸いです。
書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希
救いの言葉
私がミスしてボロボロなときのことですが、いくつか助けられた言葉があります。皆さんにも当てはまればこの言葉でぜひ救われて欲しいです。
「治すしかないから」
この言葉を言ってくれたのは私の大好きな女性の先生。起こったことを伝えたら、先生は冷静に、そうなんだね、〜〜の状況だね、と受け止めて、そして
「治すしかないから。治るから。」
「起こってしまったことは仕方ないから、前を向くしかないから。」
こんな風に言ってくれました。この言葉を言われて、ほんとに進むべき道にぐいって向かされた思いがしました。傷つくことしかできていなかったけど、やるべきことがわかったんですよね。
それから私は今の状況を医学的にどういう状況かきちんと把握して、できる治療を考えました。結局いくつか提案した方法は、合わない、時期じゃないとかで却下されましたけど、でもこうやって考えてみることが次に繋がることです。
でも、無理やり前向いてずーっと走れるわけではなく、どうにも辛い想いがしてしまうものです。そんなときにかけてもらったのが次の言葉。
「やり過ごそう」
医療系ではない友人が言ってくれた言葉です。彼女はいつも明るくて笑顔が素敵な人。だからこそ説得力があり響いたのですが、
「時にはやり過ごすっていうのも大事だと思う」
そんなふうに言って癒やしてくれました。
一度は十分傷んだなら、自分自身を安定させるために自分を守ってあげることも大事です。患者さんに起こったこと、これからたどるであろう経過、まともに向き合ったらとてもじゃないけど絶えられそうにないことがあります。そんなときは、それでいいんだと思うんです。少し時間を置いてからじっくり考えても悪くない。
今ベストを尽くすには、できるだけ早く自分を平常な状態に持っていって、頭がきちんと働くようにすること。明日もなんとかやり過ごそう!そう思いましょう。
本当は何に苦しんでる?
自分のミスで患者さんがどうにかなってしまったとき、もう消えてなくなりたい思いがすると思います。でもそれは何故?もちろん対象の患者さんを思ってのことですが、他にも苦しんでいる原因がありませんか?
「何かごまかす方法はないのか!?」「仕方なかったと言うことはできないのか!?」って、隠す方法を考えてしまう自分に苦しんでいるということはありませんか?
本当に辛いのはこんな風に卑しい自分が出てきた時。
やってしまって申し訳ないという思いはみんな当然持つけど、その思いって堂々と持ってて良くて、とことん深く想うほど伝わる気がして救われる部分がある。でもこういう卑しい自分に気づくと苦しくてたまらない。
でも大丈夫ですよと私は言いたい。人には自己防衛の心理が備わっていて、全くそういう気持ちを抱かない人はいません。それ以上に反省する思いがあればあなたは大丈夫です。
早く気持ちを立て直そう
ミスを犯してペースを乱すと、全てのことに異常に神経質になって、いつも気にならないところまで気になって、どうにもうまく回らない状況がやってきます。一度悪いループにハマるとなかなか抜け出せないものです。
「なんか悪いことが重なる…。」
それは自分が引き寄せているのです。私が思うに視野が不均衡になるのがいけないんです。ある特定の部分に神経質になって、その部分は今までより目につくようになって、見逃していたミスに気づきやすくなっている。また一方で、特定の部分に集中しているから他のことに目が行かなくなっている。だから気づき漏れる。ループにハマっている人って周りにもいませんか?
とにかく心を安定させることにつきます。仕事のミスはこれからの確実な仕事で返すんです。
- 治すしかない
- やり過ごそう
- ごまかそうとするのは人間の心理
この3つを唱えてさあ明日もがんばろう。
安全対策会議の時期や方法はベストかな?
みなさんの職場では事故が起こると安全対策会議をしていますか?
安全対策の委員をやっていたときをふと思い出しますが、何か起こったら(本当は起こる前に)すぐにみんなで原因を追求して対策を考えて改善する。安全対策の基本として行われることですよね。
正しい原則であることはわかりますが、注意が必要だと思うんです。いくら参加者全員が、間違いを犯した本人のことを悪く思っていなくても、本人は少なからず傷つくということ。シェアして考える大切さはわかるけど、そこには配慮が絶対に必要。
一人のスタッフの人生のことを大切に考えて、時期を考えるのも大事だと思うんです。状況によって本人と上司のみで検討して淡々と報告シェアする、他はそこまで気に留めてないふりをしてあげる。そうやってやり過ごしてあげることも必要なんじゃないかな?と思ったりします。余談でした。
看護師を何年かやっていれば、誰もが心にしまってある出来事があるものです。辞めたくなってしまうこともあると思いますが、そういう思いを越えてこそ深みが増すものだと思います。苦労してない人は薄っぺらさが見えます。
こんな苦労なんてできればしたくない、ミスしない人がうらやましいよと思うこともあるけど、魅力的な人間になるためには乗り越え方を学ぶべきです。真剣に向き合っていると誰かが助けてくれますよ。
もし、知っている人には話しづらい、でも知らない業界の人に話しても理解してくれないから物足りない、そんなふうに『理解してくれる他人』を探しているなら、ちょうどいい他人の私がいます。メール相談歓迎します。ひとりで悩まないでまずは吐き出してみませんか?自分が悩んだ時、そういう人がほしいと思ったので個人でやっています。
分野は問いませんが、特に手術看護が専門なので手術室看護師さんの悩みには深く共感できます。よかったらお話聞かせてください。