途上国でのボランティア活動を家族や職場に理解してもらうためのプレゼン方法


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途上国に行って医療ボランティア活動をしようと志し、自分はやる気満々!という状態になっても、家族や職場といったコミュニティーに属していると、自分の想いだけでは始められないことはよくあります。海外の情報がたくさん入るようになり、海外に出ることへの抵抗は誰にとっても少なくなりつつありますが、それが先進国ではなく途上国であったり医療ボランティアとなると、まだまだ理解が難しいという人は大勢います。

そんな状況で一筋縄ではいかないと悩んでいる人は、よかったら私の考えを聞いてみて下さい。実際に途上国に行って活動し帰ってきましたが、当時を振り返ってみると家族や師長さんとはそれなりにやり取りしたなと思い出します。

書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希

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動機を伝える

まず当然ですが、なぜ途上国でのボランティア活動をしたいのか、その想いをしっかり伝えます。あまり話をするのが得意ではない人は、紙に書いたり付箋に書いてマインドマップを作ったり、考えが散らばらないように準備しましょう。もし相手に話を受け入れないスタンスがあるなら特に、論理が破綻している部分があるとその部分から攻められるでしょう。

またこの部分は、今後あなたが自分自身の決断に疑問を持ったり揺らいだときにも、気持ちが折れていくきっかけにもなりかねません。自分の志を確固たるものにするためにも、ここでしっかり考えてみましょう。

将来のビジョンを伝える

現在までの想いを語れたら、次はボランティア活動後の将来のビジョンを話しましょう。正直な所、先のことまでまだ考えられないケースは多々あると思います。しかし、無理な中でも少しだけ、この活動を経てどうするのか、どう活かすかを考えてみましょう。

これは絶対に自分のためになることは間違いありません。考えたか考えていないかでは、活動の充実度は確実に違ってきます。また相手にとっても、応援する意味のあることだと納得ができれば理解が早いはずです。

相手のメリットを伝える

途上国で医療ボランティアをしたい、それはあなたの想いに他ならないわけですが、重要なのは、あなたのその想いによって相手に得になる部分があるのかどうかを考えたことはありますか?ということです。世の中の営みの全てはgive&take、いくら高い志があったとしても自分がやりたい一心では相手の心は動きません。相手が何を望んでいるかを考え、提供できることを探してみましょう。

それはみなさんのご家族によりますが、例えば「普通食べられない海外の料理を覚えてくるから、今まで忙しくてあまり帰らなかったけど、実家に作りに行くよ」とか、「海外経験を若いうちにして学んでおくと、転職時にも有利になるし将来安心だよ」とか。

師長さんなら「この病院で学んだことを活かして海外で活動してきます、帰国したらこの病院ではよい教育が受けられるということを発信しして採用に貢献します」とか、「より意欲的に働く看護師が増えるように、戻ったら講演させてください」とか。相手にとっての旨味となる材料を渡すことを忘れないようにするのがポイントです。

日本の治安が良いことは確か

世界の殺人発生率ランキングを出しているサイトがありました(GLOBAL NOTE http://www.globalnote.jp/post-1697.html)。1位が最も危険という意味で、ホンジュラスです。日本の順位は207位、後ろから数えて8番目です。ちなみに日本より安全と出ているのはシンガポールやアイスランドがありますね。

私が長くいたのはミャンマーですが、ミャンマーは敬虔な仏教国なので犯罪率が低いことで有名です。しかしそれでも数字で出すと136位なのですね。アメリカは105位、アジアのハブ国であるタイは103位です。

子の安全を祈るご家族には、日本より安全だから大丈夫とは言えません。しかし、ヘラヘラ大丈夫とは言っていない、きちんと調べて危険を認識していることを伝えるのは重要でしょう。また普段の生活からリスク管理ができていることを示していくと信頼につながります。いつも危なっかしい人は、誰の目にも不安に映るものですよね。言葉のプレゼンとは違いますが、態度で示すことも頭に置いておきましょう。

一発勝負はしない

日本人は謙虚でシャイです。大それた夢を抱いたら、それをおおっぴらに話す人はあまり多くありません。だからか、悩む段階はひとりでとことん考え、やっと決断したときには決めたことだけ伝えます。私は、もっと最初の段階から近い人には共有しておくとよいのではないかなと思います。あなたが悩んだ時間だけ、相手にも受け入れる時間が必要です

端折って結論だけ言うと、せっかくいろいろ悩んだことが伝わらず、コイツは何も考えていないと勘違いされかねません。いろいろリスクも考えて迷う経験を共にするのです。

あなたが途上国のことに少し興味を持ったなら、少し興味を持ったと話すのです。次にもう少し興味を持ったときには、この前話したけどもう少し興味が湧いてきてと話すのです。あなたが悩む段階を一緒に共にすることが一番自然なのではないでしょうか。すでに旅立つことを決心しているあなたでも、さあ明日から「実は少し気になっていて…」と話し始めて下さい。

身近な人を味方に付けられなければ、海外に出ても上手くいかない

いままで関係を築いてきた身近な人すら落とすことができないなら、きっと海外に出ても上手く行きません。途上国で医療ボランティアというと、自分の技術を引っさげて行くイメージがあると思いますが、それば間違っています。現地の患者さんと関わり、現地の医療スタッフと関わり、政府関係者と関わり、様々な交渉の機会からは逃れられません。

いくら人工知能が発達しても、人と人との関係の部分だけ最後まで残るだろうと言われています。人の心を動かすプレゼン能力は、今から準備をし始めておくべき必須スキルと言えます。