手術室看護師になるには年齢制限はある?体力勝負?


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手術室看護師の仕事は確かにハードです。でも病棟の仕事と比べてハードかというと、大変さの種類が違うだけで大体同じと言えるのではないでしょうか。

今手術室への異動に悩んでいるあなたは何歳でしょうか?もしかしたら、結婚して家庭と両立したい、子育てと両立したいけどできるかな?という人や、急に異動の命が下ってうろたえているベテランナースさんもいるかもしれませんね。

みなさんの不安を減らすために、具体的に手術看護の何が年齢的に大変か挙げてみましょう。年齢でいろいろなことを不安に思っているなら、事前の心構えをして、ちょっと勇気を出して挑戦してみてください。

書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希

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手術室看護師の平均年齢

では、手術室看護師の平均年齢は何歳位なのでしょうか?調べてみましたがデータはなかなか見つかりませんね。

それでは私が働いていた時のある年度の平均年齢を出してみましょう。計算してみると31歳でした。特徴として、新人〜6年目くらいまで連続して、そこから数年空いて次は12年目〜という構造がありました。

私が知っている最年長の手術室看護師には50代の方がいます。主任ですが管理だけでなく実務もばりばりやってらっしゃいます。初めて手術室に勤務した人で最年長は37歳の方がいました。その方もテキパキ動いてよく仕事のできる方です。

始めたばかりのころはもちろん身体は堪えると思いますが、先輩たちを見ていると毎日の仕事として慣れれば20代の事務職OLより元気なことは間違いないです。

余談ですが、グレイズ・アナトミーに出てくる手術室看護師のこの人、50代でまちがいないでしょう。しかもアジア系ですし、この人が出てくるとなんだか勇気がわいてくるんですよね。

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出典 http://www.hulu.jp/greys-anatomy

では実際、手術室看護師の仕事で何が身体的に大変なのか挙げてみます。

長時間不自然な格好で立つこと

手術看護といえば器械出しが真っ先に頭に浮かぶと思います。確かに長時間のオペだと、10時間以上になることもあります。さらにお伝えしたいのは、ただまっすぐ立っているわけではなく、不自然な格好で立たなければいけないのが辛いところです。何故かと言うと、患者さんを挟んだ向こう側に立つ医師に器械を渡さなければいけないとき、意外と遠くて大変なことがあります。介助の医師が不必要に何人も入っているとさらに遠くなってしまいます。

また、体内の深いところ、つまり背中側の方は覗き込まないとなかなか見ることができません。やはり直接見て何をやっているのかがわかると正確な器械出しができるので、つい一生懸命見ようとして変な体勢になってしまいます。

でも大丈夫です。毎日毎日10時間のオペがあるわけではなく、5分で終わる眼科のオペを複数こなす日もあれば、ずっと座って器械出しをできる形成外科や耳鼻科の手術など様々あります。主任や師長の采配で、バランスよくしてくれるはずです。今日は頑張らねば!と思う日だけ、お気に入りの栄養ドリンクを飲んだりすれば乗りきれるでしょう。

アドバイス

患者さんだけでなく看護師も弾性ストッキングを必ず着用することと、体幹を鍛えるトレーニングをしておくと役に立つでしょう。腹筋と背筋で腰椎をしっかり守りましょう。

走り回ること

立ちっぱなしの印象は強いと思いますが、実は外回り看護師になると走り回ることもしばしば。予想外の衛生材料が必要になれば倉庫に走り、オペ室を不在にしてはいけないので全力で戻ります。緊急事態になればDCや薬剤を持って走ることもよくあります。

そして手術室看護師が走るときにキツイのは、高地トレーニングと同じようにマスクが酸素の取り込みを制御することです。苦しさは普通より倍増します。苦しさからイライラしてしまうこともしょっちゅう。

アドバイス

とりあえず今日から階段を使うことから始め、心肺機能を高めましょう。外科医で階段を使っている人は多いですし、ある麻酔科医は放射線のプロテクターを着て負荷をかけて階段の登り降りトレーニングをしていました。

これは体力のためというより、何より安全な手術のためです。無駄に走る必要のないように、しっかりと予測を立てて準備を万端にしておくことが鉄則です。初めのうちは予測が難しいこともあるのは当然ですが、二度同じ失敗をしないようにコツコツ続けていってください。

細い針が見えないこと

老眼が早く進む人は30代半ばから悩まされるようですね。手術室看護師の仕事のひとつに、器械や針の管理があり、体内遺残のないようにするために非常に重要な仕事です。

ところが、例えば眼科の針糸ともなると、10-0と言われる髪の毛より細い糸や針を取り扱わなければならず、一瞬キラっと光る針をしっかりキャッチしなければいけないのが至難の業。もたついていると「もう!老眼鏡かけてよ!」と医師に怒られる始末に。言われてからでは悔しいので、目に自信のない人は早めにメガネを作っておくとよいかもしれません。

針がなくなると警察の鑑識のように這いつくばって見つかるまで探すことになります。患者さんを不安にさせることでもあります。そのことをよく知っておいてほしいですね。

アドバイス

毎日少しずつ目が悪くなっていくと、日々慣れてしまってそれほど危機感を持てないとうことは、老年看護で学ぶことですよね。初めて老眼鏡を作るときは多少なりとも抵抗があると思いますが、冷静に考えて必要だと思うなら早めに用意して、調節に慣れておくとよいでしょう。

夜間のオペは規則がしっかりしていれば大丈夫

夜間の緊急オペは大変なのではないか?と心配ですよね。もちろん急に夜中に起きて働くとペースを乱すことになりますが、この点は病院の規則をしっかり確認してみましょう。それぞれの施設で休養の規則は異なると思います。

夜間は何時間以上の実働で次の日どれだけ休養がもらえるのか、休日の出勤に代休はあるのか、もし病院を選ぶ段階の人は、休養の条件をよく比較してみるとよいでしょう。家庭との両立を考えている方は、ご家族とも一緒に検討してみてください。

 

手術室看護師になるのに年齢制限はあるか?というテーマで考えてみましたが、答えは「ない」と言えるでしょう。どの年齢にも異なる種類の大変さがあります。もちろん体力面で言えば20代の看護師のほうが有利かもしれませんが、若さ故の精神の未熟さがあると考えることもできます。人生経験を重ねた者にしかできない患者さんのケアだってあります。

年齢に関していろいろ不安はあると思いますが、事前の準備ができることはして、さらに体力以外での自分の強みに着目して、ぜひ挑戦されたらいいと思います。人間は環境に適応する能力を持っています。それを信じて頑張ってみてください!