国際協力で海外進出!さて保険や税金はどうなるの?ナースが苦手なお金の話


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国際協力のために長期で海外に出ることを考えている看護師さん、具体的な準備のことを考えていくと必ずぶつかるのはお金の問題ですね。中でも保険とか税金とか年金とか…給与明細から引かれている謎のお金。こんなに働いてるのになんでこんなに持っていかれるの!?くらいにしか見ていなかった数字。いざ病院を退職して無給のボランティアナースになると、このお金どうなっちゃうんでしょうか?「なんとなくすごいお金かかりそう!なんとか支払いを逃れる方法はないのか!?」そんなことを考えますよね。

私はこの手のお金に翻弄されてずいぶんうんざりしましたので、少しでも出発前の皆さんのストレスを減らせればと解説しようと思います。というか、解説はそこそこに、最も重要なことはなんなのか!を伝えたいと思います。

書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希

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病院を退職してから自分で払うお金とは

それではまず、病院を退職してから何を払わなくちゃいけないのでしょうか。まずはみなさん、毎月の給与明細と、年末にもらう源泉徴収票を手元に用意しましょう。その中のワードと照らし合わせて見て下さい。するとこんな文字がありますよね。

1)健康保険

2)住民税

3)年金

支払うのは大きくこの3つと思って下さい。

1)健康保険

日本には国民皆保険という制度があります。これは怪我や病気をした人が平等に気軽に医療を受けられるように、みんなでお金を出し合おう!と決められた制度です。私たちは、ちょっと風邪ひいて病院にかかりたいな、とか、歯の調子がよくない気がする、とかいうとき、そんなに困らない金額で病院に行けますよね。なぜ気軽な金額かというと、みんなで出し合ったお金から7割出していて、当日自分の財布から出すお金が3割だから、そこそこの金額に収まっているんですよね。ちなみに私が滞在していたミャンマーにはこのような制度はなく、民間の保険会社もまだほとんどなく、お金がない人は当然病院にかかれなくて重症化してしまうケースが多々ありました。

で、みんなで出し合うお金を、病院に勤めている間は給料から引いて病院が納めてくれてるんです。ということは、退職して組織から外れると、これは個人で納めなければいけなくなります。じゃあ個人でどうやって納めるの?大丈夫、ちゃんと保険事務所が把握して払込用紙を送ってくれます。ところがその金額を見るとびっくり!今まで引かれてたより多いじゃん!となります。これが社会保険と国民健康保険の違いです。

どちらもみんなで出し合うお金ですが、まぁここでは名前が違うくらいに思っておけばいいのではないかと。看護師さんが読んでくれていると想定して書くと、社会保険は病院勤めしているときの言い方、国民健康保険は働いてないときの言い方、です。ではなぜ金額が違うかというと、働いているときは病院と、社員である私たちで折半して納めていたからです。個人になると全額個人で払うから、最終的に納める額は同じでも、個人としては実際支払いが多くなります。私は結局40,000円/月くらいだったかな?もう忘れましたが。

金額を把握したい方へ、使いやすい計算機はこれかなと思いました。
http://www.kokuho-keisan.com/

あと、分かりやすく解説してくれてるなと思ったサイトはこちらです。
http://5kuho.com/html/keigen.html

ちなみに、「海外転出」という手続きをすると、日本にしばらく居りませんということになり、支払いの義務がなくなります。だから私の仲間でも転出手続きをして支払っていない人もいました。ただ、これは市区町村によって違いがあるので、名古屋市では◯ヶ月以上じゃないと海外転出の適応にならないということで私は確か不適でした。

ただ、払わなくていいならラッキーと思うかもしれませんが、もし海外でなんらか病気になって、現地ではなく日本に戻って治療したいなと思った時に例の全額支払いになってしまうので、そのあたりはご家族やパートナーとよく相談したほうがいいですね。海外旅行保険の保証内容をよく見て、そのあたりがカバーできるかも調べておくといいです。私の意見としては、数年単位でなく数ヶ月の滞在なら支払うのが無難と考えます。

2)住民税

住民税とは、県民税と市民税を合わせて言う言葉です。何のためのお金なのかというと、福祉や介護に使われたり、道路の修復や河川の堤防など、インフラに使われたりするそうです。みんなで住む地域のためにみんなで出し合っているお金ですね。

この住民税、前年度の所得に応じて計算されるので、正直なところ稼いでいたころの計算金額で、無給ボランティアの間に支払わなければいけないので痛い気がします。でもその分、再び帰ってきた年は楽になります。

これも税金事務所が把握して払込用紙を送ってくれるのでそれに従えばよくて、海外滞在中に立て替えておいてと頼める人がいればそれでOK。もしだれかに頼れる状況でなければ事前に「住民税-◯市」とかで検索して前払いしたいと連絡しましょう。ちなみに私の場合、海外転出届でなんとか踏み倒せないかと画策しましたが、これも1月1日時点でどこに住所があったかによって、もう数カ月先まで支払いが決まっているそうで、どうにもならずきちんと支払いましたよ。20万円/年くらいだったかなと思います。

こちらも計算機を紹介しておきます。
http://www.zeikin5.com/calc/

3)年金

年金はだいたいご存知のように、60歳とか65歳になってもう第一線で働くのしんどいなーとなったときのために、国に預けて管理してもらう貯金のようなものですね。こちら、病院勤めのときは厚生年金という言い方ですが、退職して個人になると国民年金という言い方になります。国民年金の支払額は毎年決まります。当時私は15,000円/月くらい払ったようです。

年金は事前に払ってもいいし、納付を延期することもできるので、帰国して再就職するまで待ってもらえるか確認してもいいです。こちらも踏み倒すことは可能か!?と調べましたが方法は見つかりませんでした。将来の自分のためですし納めておきましょう。年金なんて本当にもらえるか信じられないという人もいると思いますが、私は自分自身で行う貯蓄のほうが信じられません。

役所のお姉さんは優しくて丁寧に教えてくれて、たしか帰ってきてからまとめて払いました。こちらも納付書が送られてきたので、それに従って払いました。ただし事前に一括払い(半年や1年分)した方がお安くなるようになっています。

保険や税金のことは気にするな

さてここまでいかがでしょうか?

今回はざっくりと保険や税金について、いつ、どこに、どうやって、いくら支払うのか書かせていただきました。でも最初に述べたとおり重要なことは、お金のことより、みなさんが海外ボランティア出発前に考えなければいけない本質にきちんと時間とエネルギーを注いで下さいということです。支払い漏れていたら後から払えばいいんですよ。徴収したい人はどうにかして徴収しに来ます。必ずしもこちらから事前に完璧に支払えてなくても日本を追放されることはありません。また無責任なことを言ってしまいましたね。でもそのくらいに考えておいてよいと思います。

また、紹介した計算機で金額を出してみた人は、結構お金がかかるな〜と気が重くなりましたよね?私もそうでした。日本に住むのって大変…!そんなことを思った記憶があります。でもそれでやりたいことを諦めるのは残念です。なんてったって私たち看護師の強みは選ばなければ就職に困らないことです。お金がなくなったらまた働けばいいんですよ。私もお金なくなったので、また地道に働いております。もし海外ボランティアを経験しなかったらと?考えるとそちらの方が恐ろしいです。何にも代えがたい経験ができたのは間違いありません。こんなこと言うとみなさんの親御さんに怒られそうですが、とりあえずやってみて、お金のことは後でどうにかすればいいんですよ。

みなさんの夢の実現にこの記事がお役に立てば幸いです。