英語はどのくらいの期間でどれだけ上達する?英語力ゼロから「英語を話せる」と感じるまで


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前回、英語学習や語学留学に興味を持つ看護師さんが増えているという話をしましたが、(Pre>社会人(看護師)になってからの語学留学はアリ?)学習の計画を立てようとすると、いったいどのくらいの期間でどれだけ上達するのかが気になる点ではないでしょうか。

ひとそれぞれ違うことは承知の上でも、せめて目安がわからないと気持ちを維持できないですし、そもそも学習をスタートさせることすらできないですよね。英会話スクールに通うにしても、留学するにしても、お金の準備もできないし、仕事の調整をつけることもできません。

そこで、私の経験が役に立つと思います。私は看護師7年目に、英語力完全ゼロの状態から、国内で少し勉強して、アメリカのポートランドに語学留学しました。結果、見事海外で生活できるくらいになって帰って来ました。

今回は、私が国内でどのくらいどんな学習をしたのか、留学してどのくらいでどれだけ話せるようになったのかを紹介しましょう。きっとみなさんにとってよい目安となるはずです。

みなさんが私のエピソードを参考にするメリットは、もともと全く英語ができない人の例を知れることです。そして、私は看護師ですので学力もだいたい察しをつけてもらえることです。自分に置き換えて考えやすい目安になっているのではないでしょうか。

書いているのは私です。
NurseVery運営者 安江夏希

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英語を学ぼうと思ったきっかけ

英語になんか全く興味のなかった私がいい大人になってから英語を学ぼうと思ったきっかけは、海外医療を志したことです。

看護師としてどのような進路に進むか、それを考えた時に途上国での医療をやりたいと思い、いろいろ調査するうちにやはり英語はできた方が良さそうだなとわかってからです。

しかしそのときすでに27歳。一般的に25歳すぎたらオバさんと言われるように、まさに私も記憶力が下降に転じたのを実感したころでした。

はじめの私の語学力

それまで高校以来全く英語には触れていませんでした。しかもその高校時代の成績というのも、学年300何十人いる中の、300番台だったりというひどいものでした。高校の先生に聞いていただければ証明してくれます。決してサボったわけではなく、真面目に取り組んでもできなかったんですよね。

現役の高校生でその状態ですから、その後10年近く錆び付いた脳はさらに厳しい状態です。リスニングは、全部言葉が繋がって聞こえてさっぱりでしたし、スピーキングは未知でした。読み書きは少しできたので、旅行先で困ったときは「紙とペンをくれ」と言って書いて伝えていました。

これが私のはじめの語学力です。安心しましたか?ではここからどうやって学んでいったかお話ししましょう。

犬から基本を学ぶ

NHKの英語教育アニメ「リトルチャロ」をご存知でしょうか?たまたまテレビで見かけて「これならできる!」と思った教材でした。

簡単にストーリーを説明しますと、犬のチャロが飼い主と一緒にニューヨークに旅行に行ったのですが、空港ではぐれてしまい、飼い主は日本に帰国、チャロはニューヨークに取り残されてしまいました。チャロは日本に帰国しようと奮闘する中で、ニューヨークの犬たちと出会い、助けられながら、英語も学んでいきます。チャロが英語を学ぶのと一緒に私たちも学んでいけるようになっているアニメです。

これはかなり初心者向けに作られているのと、なによりチャロがかわいいのが優れた点です。教材選びで大事なのは、自分が好きだと思える教材を見つけることです。英語教材は山ほどありますが、本当に自分に合ったものは一つか二つのはずです。気に入ったものに早く出会って、それを完璧にこなすのが一番良い方法です。

私はかわいいチャロにとことん惚れ、常に車の中でも流し続け、何回りも見て、気付いたら全て暗記するほどになっていました。飽きることはありませんでした。留学前の学習はほぼこれだけ、犬から基本を学んだのです。

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出典 http://item.rakuten.co.jp/eigo/charodvd/

Dr.houseで医療英語を学ぶ

チャロに補足したのはアメリカの医療ミステリードラマ、Dr.HOUSEです。これは友人から面白いと勧められて見てハマったものです。診断医のHOUSEと彼のチームが毎回一つの難解な症例を解決していきます。

将来途上国で医療をと考えていたので、やはりビジネス英語ではなく医療英語に興味がありました。チャロ同様にとても気に入ったドラマだったので、良い教材になりました。

学習の仕方は、まず普通に日本語字幕で見て、次に覚えたいなと思ったシーンを、英語音声&英語字幕で見て、メモ帳に書き出します。メモ帳はトイレに置いておいて、毎回少しずつ何度も目にするようにします。そんなに熱心に努力はしません。

チャロもそうですが、英語を学ぶときにはフレーズと映像がセットになっている必要があります。単語やイディオムがずらっと書かれたテキストを記憶しても、なかなか実際の場面で使えるものにはなりません。「こういう場面でこういう風に言うんだ〜」という知識を貯めていくと、実践向きです。

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出典 http://www.hulu.jp/house

こんな感じで仕事と両立しながらわりとストレスなく楽しく勉強していきました。この期間1年くらいでしょうか。留学しようと思ってからいろいろ調査して決定して、病院と交渉して・・・とやっていたら1年くらい経ちます。

ここまでで、知っている単語の話ならなんとか聞き取れるくらいになり、スピーキングはCanを使えるくらいになりました。

Can you〜〜〜 Can I〜〜〜

今でも思いますが、このCanってすごく用途が広くて便利で、何か話したいと思ったときはとりあえずCanから考えることが多いです。

では次は、その後実際に留学してからのお話です。

留学するとどのくらいの期間でどのくらい上達するか

私はアメリカのポートランドに留学して、ホームステイをしながら語学学校に月-金で通いました。
ではほぼチャロ語のみという私の英語力はどうなっていったでしょうか?

オレゴン州 ポートランド

学校初日

当たり前ですが、「全部英語なんだ〜!」というのが素直な感想。どこにも逃げ場がない英語の環境に驚きました。語学学校は世界中から生徒が集まってきていますので、当然共通言語は英語しかないわけです。

学校の校長先生が初日にオリエンテーションをしてくれるのですが、めちゃくちゃゆっくり上手に話してくれるのを必死に聞き、気持ちが引き締まる思いでした。

授業初日

クラス分けテストが終わった次の日からさっそく授業が始まるのですが、授業がどう進んでいるのか全く飲み込めませんでした。

よくわからないけどみんなすごい手を挙げて発言していて、隣の席の韓国人の男の子に「ほら、恥ずかしがらないで!」なんて声かけてもらって、でも恥ずかしいんじゃなくてわからないんだよ!と内心怒りながら、このフォローされる状況を情けなく感じていました。

1週間後

ところが休日を挟んだ次の授業は、急に話がわかるようになっていたのです。びっくりしました。手に取るように話がわかり、きちんとついていけるようになっていたのです。

リスニングでもリーディングでも、話の内容を予測することが大事だと言われます。よくテキストの扉絵を見て予測をつけなさいと教わりました。それと同じで、授業のパターンが予想できるようになると次第にわかるようになるということだと思います。

そして後々わかったのですが、初対面の人と話すときは少し難しくて、でも2回目3回目と会い、声や話し方の特徴をつかめると聞き取れるようになってくるということもありました。あまり「勉強する」と構えなくてもいいような気がします。

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1ヶ月後

1ヶ月経つと次のクールの留学生がやってきます。そこで「慣れているね」と言ってもらったのが初めての客観的評価でした。確かにそんなに複雑なことを話せるわけではないけど、コミュニケーションには慣れた実感はありました。

3ヶ月後

ちょうど3ヶ月後がニューイヤーだったのもあり、一度は行ってみようと思っていたニューヨークに出かけることに。ポートランドの本屋さんで英語のガイドブックを買い、ひとりで度胸試しの旅に出たのでした。

国内線も電車もどきどきですが、なんとか到着、タイムズスクエアに立ったときにはなんだかとても大きな達成感がありました。しかしこの時期が成長スピードのマックスだったように思います。。。

4ヶ月後

4ヶ月目に入ると学校にも十分慣れて、さぼりがちな子に引っ張られるように自分もルーズになっていきました。退屈になってしまったんです。そんなに新しい発見は多くなく、成長が感じられなくなりました。

はじめに学校の先生が「常に上達するわけではないよ、伸びが緩やかになるときもあるし、落ち込む時もある」と言われていましたが、まさにその通りになりました。

5ヶ月後

相変わらずゆるやかな成長曲線を描きながらでしたが、最後の月なので無駄な時間のないようにと心がけました。学校は早めに切り上げて、近所のネイティブの友達と積極的にからんだり、街に出て店員さんと絡んだり、できるだけネイティブの中で揉まれようと最後にあがいたのでした。

帰るときにはホストファミリーのお姉さんから「あなた最初はなんにもしゃべれないから大丈夫かしらと思ったけど、ずいぶん上達したわね」と言ってもらいました。あ、最初やっぱりヤバかったんだ(汗)と少し恥ずかしく思いながらも、帰るときの気持ちとしては、一人で乗り込んでなんとかやってこれた充実感でいっぱいでした。

まとめ

ということで私の経験からすると、留学すると3ヶ月くらいで短い文章のコミュニケーションが取れるようになり、日常生活が可能になります

長い文章を構成できるようになって、スムーズに思っていることを発言してディスカッションできるようになるなら、ここからさらに訓練が必要になります。

「英語が話せるようになる」の基準

「英語が話せるようになりたい」という気持ちはあいまいなもので、TOEICやTOEFLのスコアではないですよね。たいていの人は英語を話すことに抵抗があるかどうかで「話せる」「話せない」に線を引いているのではないでしょうか。

例えば医師の方が私なんかよりボキャブラリーは豊富だし、テストのスコアは上でしょう。きっと話せば私より話せるはずですが「話せます」と自信を持って言う人は少ないです。

「話せます」=「抵抗がありません」と言える基準は、その人その人の感覚なだけで、レベルは様々なものです。

「話せるようになりたいな〜」は早くクリアするべき

大事なのは「英語が話せるようになった」と感じたその後のこと。早く英語を話すことに抵抗がない状態に達して、次の目標に照準を合わせることが大切です。

苦手意識を克服さえしてしまえば、その後のレベルアップはどんどんできます。第三言語も抵抗なく学べます。多くの方は始めの一歩にかなり時間をかけているので、非常に時間がもったいないと思います。

みなさんは英語を使って何をしたいのでしょうか?きっと私のエピソードを聞いて自信が身についたことと思いますので、その勢いのまま今から動いてみてください!